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2009.09.12
工事が始まる前に

住宅生産及び生活におけるCO2の削減に思う?

15年程以前から”住宅は100年程度は使えないとおかしい”と考えるようになりました。何故なら、かつての、家造りを一手に担っていた大工さんたちが作っていた木造住宅(千数百年の既知技術に裏づけされていた)が、修繕しながら100年以上耐用してい現実が廻りにあるからでした。

ダンハウス㈱において、100年耐久を意識した当時は、基本工法として、2×6工法を採用していました。この工法は、既に多くの方がご存知のように、北米で発展した輸入工法です。基準法上オープン工法として認められ、誰でも建てられるようになってから30数年が経過します。実は、我が家もこの工法で32年ほど前に建てました。

この工法は、第1次オイルショックが我が国を襲い、その後の省エネルギー政策の一環として(穿った見方として、当時の日米間の貿易摩擦の解消に一役買った?)、北米より導入された建築工法です。北米という寒い地域で育った工法ですから、日本では殆ど見られなかった断熱という新しい概念と工法も同時に輸入されたのです。

この断熱材で蔽われた住宅は、それまでの、冬寒い我が国の住宅に比べ、暖房燃料としての、灯油代、ガス代、電気代の消費が減り、屋内の暖かさも比較にならないと評判を呼び、国の政策の後押しも相まって、瞬く間に全国に広がったのです。

住宅の温熱環境の向上に従って、冬季の生活スタイルも飛躍的に豊かになりました。しかし、一方、この断熱材の装備が思っても見なかった副産物を木造住宅にもたらしたのです。

普及から暫くすると、在来建築の大工さん達から”オメェこんな物、壁や床に入れたら建物が腐っちまうよ”という声が聞こえるようになりました。

そうです。断熱材を建物に施工する事により、今までは屋内の壁表面に発生していた表面結露が、目に見えない建物内部で発生し、土台や床、柱、梁等が腐食する現象が確認されるようになったのです。

この頃からが始まりで、只今現在まで、我が国の木造住宅建築に携わる技術者達は、この内部結露との戦いに明け暮れていると言っても過言ではないと言えます。

只今現在でも安全な効率の良い断熱工法が開発され続けてています。しかし、その安全性はと言うと、時を待たないと検証できません。

つまり、我が国の木造住宅のなかに、未だ安全性に疑問が残る断熱技術(未知技術)で出来上がり、その装備が不可欠となってしまった只今では、建物の耐久性が担保されない恐れがあるのではないか?という危惧を感じます。

時の総理大臣が”住宅200年構想”をぶち上げてから2年ほどが経ちます。さすがに政府(国交省)も現実味の薄いキャッチフレーズに恥ずかしさを感じたのでしょう、最近ではトーンダウンして、”長期優良住宅”なるものに落ち着いたようです。

そして、今度は、住宅の生産、生活におけるCO2削減の名の下に、短兵急な政策として、優遇税制、補助金なるものが貴重な税金から投与されるようになります。

一部の消費者にとっては、誠に結構な話となりますが、この優遇策を享受できる建物には性能表示をつけなければなりません。私共ダンハウスでは、昨年暮れ、この長期優良住宅を位置づける為の、国交省による”超長期優良住宅モデル事業の募集”に応募した経緯があります。条件としては、”設定期限内完成の実際の建物に性能表示をつけたもの”という事でした。

結果、200万円以上の余分な工事費・設計費の負担をこうむりました。そして、初めて受けた性能表示に示された構造の劣化等級は木構造単体の評価であり、温熱環境に至っては、断熱材の厚みが指定されているだけでした。どこにも結露の問題が提起されていない不思議を感じさせられるものでした。

つまり、100万円の補助金を得る為に、200万円以上の余分な工事費を投入し、尚且つ、長期(100年?、200年?)耐用が担保されていないというのが、長期優良住宅の実態なのではないかと思えてならないのです。その上、ペイするかどうかわからない、何百万もするエコシステムを、個人の責任で負わされたら何をかいわんやです。

結局は、エコの美名の下に消費者が踊らされ、環境商品開発メーカーのビジネスチャンスとなるだけの様な気がしてなりません。

国際間においては、CO2を巡る排出権が取引され、環境商品が飛び交う、新しいビジネスとして位置している様子です。

マテヨ・・・・・削減目標数値の不足分を、森林国から排出権を買うだけで、実際にはCO2を垂れ流していたら、実質CO2は減らないね?・・・・住宅で”ゼロエネルギーシステム”を採用して生活で発生するCO2は減らしても、システムの生産にはCO2の発生は付きものだよね???

又、地球物理の専門家の中には、地球は温暖化に向かっているのではなく、実は寒冷化に向かっていて、温暖化はその前段階の現象に過ぎないという説を説く方も多くおられるようです。

何だかよく判らないことになってきました。

しかし考えてみると、高価で不確かなエコシステムを使わないで、それ相当の省エネルギーな生活ができたら、それは消費者にとって大変なメリットになる事は確かです。その結果として、知らずの内にCO2が削減されていたという構図が一番無理がないのではないかと考えます。

この記事のカテゴリ:今日の工事【IW邸】
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