Ⅴ-2、無結露住宅―RIMCL100住宅メインイメージ
2007.12.19
Ⅴ-2、無結露住宅―RIMCL100住宅

湘南地域におけるRIMCL100住宅の無結露の検証
イ. RIMCL100-無結露安全断熱構造

図は、”RIMCL-100″技術による住宅の換気、断熱、蓄熱床のシステム図です。

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外壁構造には自然躯体換気工法が採用され、構造用合板にあけられた穴を通じて、熱反射断熱材の外側壁内空気、構造躯体を自然に換気する換気構造になっています。小屋裏空間は、熱反射断熱材で居室と遮蔽された開放空間となっています。

外壁構造躯体内部の熱反射断熱材の屋内側の空気も屋内に対して自然な通気、換気構造になっています。高気密化とは全く裏腹な壁内開放方式による全く新しい考え方の住宅断熱となります。構造体が屋内側に開放されるという事は、”真壁構造”が可能であるという事になります。

1階(又は1,2階)床には蓄熱式の床暖房システムが装備されています。このシステムにより屋内全館がほぼ同一となる空気環境を創りだします。このシステムによると、24時間ほぼ一定(20℃±3℃、40%)の屋内環境をローコストで創出する事ができます。同様な屋内環境は、24時間空気調和式の暖房方式でも得られますが、イニシャルコスト、ランニングコスト、メンテナンスコスト、リフォームコスト、安全性、快適性、耐久性のどれをとっても”温床システム”に利があるように思えます。

冬季においては、熱反射断熱材の外側に位置する構造躯体が自然換気されます。屋内側の壁内環境は、温床により供給される安定した屋内空気と対流、熱伝導若しくは構造躯体の吸湿作用?により換気環境?を保ち結露に至ることはありません。温湿度の実測による検証では、外気の最低温度が2.5℃の下での無結露の確認でしたが、結果から推測すると、外気温度が-5℃程度まででしたら安全なようです。図は、”RIMCL-100″の躯体の換気環境を表した外壁断面図です。

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その結果から判断して、”RIMCL-100"住宅は、湘南地域においては、無結露安全断熱住宅であるといえます。

それでは寒冷地においては無効か?という事ですが、実は方法はあります。例えば温床の運転時間を延ばして熱の供給量を増やす事や、屋内壁上下に壁内部空気と屋内空気を対流させる機能を設けたり、調湿機能を持つ内装材の採用等によりかなりの環境にも有効ではないかと考えています。実験による検証で有効性が確認できれば、寒冷地仕様も開発できることと思います。図は、冬季における躯体内空気への熱の供給状況を表した外壁断面図です。

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この断熱構造による結露域は、通常の断熱構造とは異なり、熱反射断熱材の屋内側表面に現れます。つまり、ほぼガラス表面の結露と同じとなりますので、結露への対処も比較的単純に考えても差し支えないと考えています。

夏季においては、熱反射断熱材による熱の反射機能が有効に働き、屋根面、外壁面に照りつける日射を効率よく反射します。特に屋根面での熱反射率は97%にもなるそうです。実際の温度測定では、外気温度32℃のとき、小屋裏空間の空気温度は46℃まで上昇し、真下の2階の屋内温度は31.5℃までしか上昇しませんでした。図は、夏季における躯体内空気への熱の供給状況を表した外壁断面図です。

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もう一つ興味深い事は、屋根葺き材に瓦を採用した場合とコロニアルを採用した場合の小屋裏温度への影響の違いです。外気温度が同じ32℃のとき、前者の場合は35℃を記録し、後者の場合は46℃を記録しました。又、前者の野地板に杉板を採用、後者の野地板には合板を採用した事も関連がある事は間違いないようです。

   ロ. 生活の伴うRIMCL100住宅の温・湿度データーからの検証

・測定条件

測定日     平成19年2月15日9:15~2月16日9:00 24時間データー

測定地域    神奈川県逗子市

天候       晴れ~晴れ

暖房運転    蓄熱式床暖房  24時間の中で、40分x2回運転

          運転時間   17:00~17:40    5:00~5:40

・サンプリングポイント

          ①     屋外                紺色

          ②-A  屋内中央床付近         赤色

          ②-B  屋内外壁面付近         黄色

          ②-C  屋内ガラス面付近        青色

          ③     外壁躯体内ボード下地付近  茶色

・各サンプリングポイントにおける24時間温湿度測定データー

各データーとも紺色は温度を表し、赤色は湿度を表しています

① 外気    温度データ :2.5~12.5℃   湿度データ :40~65%

気温が下がると湿度が上がる様子が見て取れます。この事は、単位体積あたりの湿気の量が変わらないことを意味します。

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②-A 屋内床付近  温度データ :17.5~23℃ 湿度データ :32~42%

例えば14:00と22:00の屋内空気で、室温は22℃と余り違わないのに湿度は40%から35%へと-5%の変化があります。この結果は、10:00から18:00までの活動時間帯に外気が混入していた(換気)事を表しています。又、日射による建物躯体への蓄熱の影響も考えられます。18:00を過ぎると窓を閉めることで換気がなくなり、同時に17:00の床暖房の運転により屋内温度が上昇した為に湿度が下がる状況が表れています。次に、19:00以降の屋内空気の変化ですが、室温が下がっているにもかかわらず湿度は35%前後でほぼ一定に保たれています。空気理論上、屋内の湿気の量が一定ならば、室温が下がり始めると湿度は上昇します。しかし、生活環境においては廻りに吸湿作用をもつものがたくさんあり、(建物部材、カーテンや生活小物等)この物に湿気が蓄えられた(調湿)と考えられます。

物体が湿気を吸うという現象は、吸湿、調湿と言われていますが、物体の温度が廻りの空気より下がると、湿気を吸い始めるそうです。建物で申しますと、日射を受けて温度が廻りの空気より上昇した物体には調湿効果は余りなく、夜間、建物各部の温度が下がり始めると、それぞれの物体の性質により吸湿がはじまるそうです。

従って、結露現象というものは、まず、湿度が上昇した空気(露点温度に達した空気も含め)が建材等に触れ、次に建材等に吸収された湿気の量が、その建材の保水量を超えると表面に結露水が流れ出ます。この事から、新建材よりも自然の木材を建築部分に配することは、結露に対して有効な方法と言えます。

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②-B 屋内壁面付近  温度データ :16~23℃ 湿度データ :42~50%

このデータにも②-Aの空気と同じく18:00までは換気の様子が現れています。19:00以降も同様で、温度が下がっても湿度は上がらない一定に近い状態を保っています。

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②-C 屋内ガラス表面  温度データ :10.5~22℃  湿度データ :42~52%

このデータにも②-Aの空気と同じく18:00までは換気の様子が現れています。19:00以降は、温度が下がると湿度が上昇する傾向が現れています。但し、その上昇の度合いは非常に少なく、ここでも、補熱量の大きい屋内空気との対流により湿度が低く抑えられることになり、露天温度に達することはありません。もしこれが、エアコン暖房等に拠った場合は20℃、45%の空気が6℃まで下がるわけですから、ガラス表面温度が10℃程度に下がった段階で湿度は100%の値を示し、窓ガラス表面に結露水が流れ始める事になります。

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③ 外壁躯体内、熱反射断熱材と石膏ボード下地との間の空気

               温度データ :9.5~17  湿度データ :56~70%

このデータにも、②-Aの空気と同様な日射による影響が10:00から15:00までの間に現れています。それ以降7:00まで温度が降下、22:00までは湿度も降下?しています。恐らくこの矛盾は、17:00の床暖房の運転による影響が現れた為ではないかと推察できます。その後23:00以降は、若干ではありますが湿度は上昇傾向の変化を見せています。この変化の状況は、②-Bの壁表面の空気の変化と空気線図上においては相似形をなしています。つまり、湿気の量の変化が殆どないのが特徴で、石膏ボードを断熱材として介した熱伝導による熱の伝わりを物語るデータになりました。

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  ハ. ロの温・湿度グラフを空気線図に置き換えて検証

① 外気 温湿度データ

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外気の温湿度24時間データを空気線図上にプロットすると下の緑点で示された図になります。外気の変化全体をA郡としますと、13℃の空気から2.5℃の空気まで、水蒸気量0.003kg/kgDAの値の線上にほぼ並ぶ様子が良くわかります。この事は、この日の外気に含まれる水蒸気の量に殆ど時間変化がなく(という事は気候が安定している)、気温が下がるに連れて湿度が上昇する過程(相対湿度線を45~70%まで横切っている)がはっきりと現れています。

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② 屋内空気温湿度データ

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屋内空気の温湿度を空気線図上にプロットすると下の赤点で示された図になります。建物には”RIMCL-100″技術が装備されています。日射や換気による影響等を排除する為、床暖房を運転下2時間後の19時から翌早朝6:00までのデータを使って検証します。

もし、B郡の屋内空気に含まれている水蒸気量が一定で変化しない場合は、絶対湿度0.0057の線上を水平に移動する性質の変化(相対湿度が上昇)をします。そして、この時の露点温度は7℃となりますので、この温度の物に触れると結露が始まります。しかし、実際の屋内空気は換気、加温、加湿、熱伝導、対流による混合等によりその性質を刻々と変化させます。

記録されたB郡の生活空気は、図に見られるように温度が下がると共に、湿度ライン35%のライン上を移動してその性質を変化させています。理論上の空気の変化と明らかに異なります。そして、その性質の変化の内容は、その時々の空気に含まれる水蒸気量の減少に現れています。19:00には0.0062kg/kgDAの水蒸気を持っていた空気が、6:00には0.004kg/kgDAの水蒸気に変わっています。その差0.0022kg/kgDAの水蒸気はどこにいってしまったのでしょうか?。

この現象は、換気や減湿操作でも起こりえますが、このデータ測定の時には窓の開閉や換気扇の使用、除湿操作もしていませんのでしたので、このケースでは、夕方5:00に40分間運転した温床による蓄熱の影響(加温し続ける事による効果)と、内装材(天井板張・床フローリング張・造作材・下地材)や生活雑貨等による有効な調湿作用が働いたと判断します。このように同じ湿度を保ったまま変化する空気は飽和線に触れない事が空気線図から読み取れます。従って結露現象は起こりえないことになります。

“RIMCL-100″の技術においては、この結果は偶然なものですが、一般的には、空調システムの採用により簡単に同じ結果を得ることができます。

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参考

同じRIMCL住宅の屋内で、19:00~6:00までの屋内の空気の変化を、温床による暖房とエアコンによる暖房の二つのケースの違いを空気線図上で表してみます。

赤の温床暖房による場合は、屋内空気は11時間の間に23℃から17℃に変化しました。1時間当たり約0.54℃の熱を損失する計算ななります。一方、青のエアコン暖房による場合は、同じく11時間の間に21.5℃から10.5℃に変化し、その1時間当たりの熱の損失は約1.0℃となります。

但し、エアコン運転のデータの場合、厳密な意味では、温床に蓄熱された熱が冷め切らない翌日においてのテストデータである事からあくまで参考値とします。

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この記事のカテゴリ:温暖化対策住宅
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